ゆっくり近付くと、スマホから顔を上げた彼。
長めの金髪の前髪から覗くのは、すごくキレイな瞳……。
「おせぇ…。俺、待つの嫌いだ」
「えっ…?」
「今日の放課後、玄関で待ってるって言ったろ」
眉間にシワを寄せて不機嫌にあたしを見下ろす。
あれ、本気だったの⁉︎
「帰るぞ」
「あたし…アンタの名前も知らないのに一緒に帰るの?」
「瀧原大和。1年1組。好きな食べ物は、肉。分かったか?」
「ごめん。全然分かんない…」
「お前バカ?とりあえず、俺帰りてぇから帰る」
男の子の力でぐっと手首を掴まれる。
何も言えないあたしは、仕方なく瀧原君の背中に着いて行った。
「お前、家どこ?」
「遠いから駅までで良いよ」
「誰も送ってくなんて言ってねーし」
くっそ生意気だね…‼︎
危うくケツ蹴りそうになったわ‼︎
「駅、ここだからもう結構‼︎」
「なんだよ…。学校からすげー近いじゃん…」
シュンとした顔。
だ、騙されないから‼︎

