雨が小降りになり、俺の制服も乾いた。
まだ柚子ちゃんの側にいてぇなー……。
「大和‼︎今日はありがとね?」
「俺こそ。デートはまた今度な」
「うん‼︎絶対、デートしようね。約束‼︎」
柚子ちゃんの小指に、俺の小指を絡めた。
まぁ、家来れたから多少は雨に感謝してる………。
「まだ外雨っぽいから、コレ使って‼︎」
「良いって‼︎走れば駅すぐだし」
「ダメだよ‼︎ほら、年上の言うこと聞きなさい‼︎」
「分かったっつーの‼︎」
押し付けられた赤い水玉柄の傘。
柚子ちゃんの傘だな、コレ。
190cm近くの俺が持つと、どうなんだ…って感じだけど。
年上の言うこと聞くか……。
「気を付けてね。大和」
「おう。あ、忘れもん」
「えっ‼︎なに?……んっ」
「俺が帰っても、俺のことで頭いっぱいになる様に」
「…バカ」
唇を指で押さえて真っ赤な顔。
俺で頭いっぱいになって?
もっと、俺のこと好きになって?
水玉柄の傘を差す俺も、柚子ちゃんのことで頭いっぱいだから。