年下君主




そんな俺の願いも虚しく。


ザーッ…っと、音を立てて降る雨。


放課後の下駄箱に、柚子ちゃんと立ち尽くした。


「雨すごいね…」

「だな…。俺、傘持ってねぇ」

「あたしも…。予報晴れだったから仕方ないよね‼︎でも、どうしよう…」

「確か近くにコンビニあったよな。傘買って来るから待ってて」

「何言ってんの‼︎風邪引くよ⁉︎」


腕を掴まれて止められた。


今日のデートは延期っぽい……。


「あのさ、大和……」

「ん?」

「ウチ来る?大和の駅より近いし、傘もある。雨宿りぐらいには良いかな〜っと…」

「それ良いな‼︎ぜってー行く‼︎」


ちょっと雨に感謝‼︎


俺が着てたブレザーを柚子ちゃんの頭に掛けて、ぎゅっと手を握った。


「柚子ちゃんちまで走るぞ‼︎」

「ちょっ、待ってよ〜‼︎家分からないでしょ〜‼︎」

「分かんねー‼︎」

「ぎゃー‼︎足速いー‼︎速過ぎ‼︎」



柚子ちゃんちに行けるなら、ずぶ濡れになるのも悪くない。


俺って、すげー単純。