【柚子side】
教室から見える窓の外は、どしゃ降りの雨。
そして、いくらストレートアイロンをかけても言うことを聞かないあたしの髪。
6月の現在は、梅雨真っ只中。
昼休み、大和に勝手に連れて来られた空き教室。
あたしを膝の上に乗せ、指でくるくるとくせ毛をいじる。
コンプレックスが〜……。
「今日、毛先くるくるだな」
「くせ毛なの‼︎アイロンしても、湿気でやられる…」
「へぇ〜。嫌なんだ?」
「嫌だよ‼︎コンプレックス‼︎」
「このままでも俺は好き。くるくる可愛いじゃん」
耳元を掠める優しく低い声に、ドキッとした。
大和はハーフだからでしょうか…。
甘い言葉もサラッと言えちゃうんだよね……。
「ん〜…柚子ちゃん良い匂い…」
「シャンプーかな」
「食いたい…。ね、食って良い?」
「はっ、はぁ⁉︎ダメに決まってるから‼︎」
制服のリボンに手を掛けないでもらえます⁉︎
梅雨でも猛獣加減は安定だ。