ハァッと息を整えて『2-5』と札の付いた教室に入る。
あたし、三条柚子は平凡過ぎる高校2年生。
彼氏なんて生まれてこの方いた試しがない。
そんなあたしが、あんなカッコイイ人に告白される訳ないから…。
「あ、柚子〜。おかえり〜」
席に座りヒラヒラ手を振る女の子は、あたしの親友の佐伯奈々花(サエキ ナナカ)
。
肩までの茶髪にパッチリ目の美少女。
かなりモテるんだよね〜‼︎
「トイレ行っただけで疲れ過ぎじゃない⁉︎なんかあったの?」
「いや…なんか、知らないハーフっぽい男の子に……」
「ハーフ?あっ‼︎1年生の子でしょ?有名じゃん‼︎」
「そうなの⁉︎初対面なのに…」
「なのに〜?」
「告白紛いな事言われたんだよね」
あれ、モロ告白だったけど…。
そんな有名人の彼の戯言に過ぎない。
「嘘〜⁉︎羨ましい‼︎なんで⁉︎」
「そんなのあたしが知りたいよ〜」
「柚子にもとうとう彼氏か〜…。良いねぇ‼︎」
「だから付き合ってないってば‼︎」
奈々花、話進め過ぎ‼︎
『彼氏』なんて一言も言ってない‼︎