ゆっくりと私を見上げた竜門くんの表情に、私は驚いた。
「俺さ、お前のこと犬って呼んでたけど、最初から女の子として見てるよ」
彼は、やんわりと微笑んでいたのだ。
「……嘘」
「本当だって。犬みたいに可愛いって、意味だったんだから」
「竜門くんの嘘つき。最初会った時、私見てお前が吉野かって言ってたもん」
「それはその、照れ隠しってやつ、で。………そんなに言うなら証拠あるけど」
スケジュール帳を開いた竜門くんは、そのカバーに挟まる1枚の写真を取り出して、私に見せた。
「……何これ」
「1年前のお前」
それは去年入学直後の遠足に行った時に食べたアイスを満面の笑みで頬張る、私が1人写っている写真。
「え、……なんで?」
「言わせんな。考えたらわかるだろ」
プイッと横を向いてしまった竜門くん。
考えたらわかる?
1年前の私の写真を持っている竜門くん。
それも、私1人だけが写っている写真。
それって、どういうことなの…?
「おい、犬」
悶々と考えていれば、もう犬ではないのに、そう呼ばれた。
「お前みたいな犬なら、別に飼ってやってもいい」
突然、何。
なんでまた、犬って言うの。
私は犬じゃなくて、竜門くんに恋する1人の女の子なのに。


