放課後、私たちは加瀬君の家に集まった。

うかつに会話を聞かれることを防ぐため、場所を加瀬君が提供してくれた。

加瀬君の家は学校から5駅離れた駅前のマンションだ。


一人っ子で両親共働きのため、家には誰もいない。


「本当にありがとう」

委員長が深く頭を下げた。

「私、もう駄目だと思ったの」

一回は覚悟を決めた委員長の恋が学校生活が、これからも続くことに心からホッとした。


「加瀬君、怖いぐらい嘘つきだったね」

私の言葉に、


「必死だったよ、俺だって」

照れたように笑う加瀬君の顔は、今すぐ若手俳優でテレビに出られそうな整った顔だけど。笑った顔もさわやかだけど。

騙されないから。

「そういうことにしときましょう」

女子はうんうんと頷いた。


「先生と会うときは気をつけなきゃね」

私の言葉に、

「うん。先生と話して卒業までは外で会うのはやめようってことになったの」

委員長は先生って言葉出しただけで女の子の顔になる。

キラキラなんだよ、本当に。

キラキラして、可愛い。


「卒業まで、長いね」

愛紗が寂しそうに言うと、

「でも、1年半、我慢するだけだから。その先、ずっと一緒にいられるためなら、全然大丈夫だよ」

穏やかな委員長の声にみんな頷いて、少し羨ましいような気持ちになった。