あなたにspark joy

その時、

「園田さん?」

すぐ隣に人の気配を感じた時には既に顔を覗き込まれていて、私は反射的に声の主を振り仰いだ。

……前田さんだった。

週末の気まずかった記憶が蘇ったけれど、今はそれどころではない。

「俺は三次元測定を頼まれてたんだ。園田さんはどうしたの?」

背の高い前田さんが、身を屈ませて私を見た。

彼の片手にはグラファイト専用のプラスチックケースが握られている。

「あの、私は設変の図面を持ってきたんですけど、シリアルIDを知らなくて」

一瞬、前田さんの表情が変わった。

それからその後すぐに、

「助けてあげてもいいよ。設計課と、俺がいく製作課はシリアルID一緒だから」

「有り難うございます、前田さん!助かります!」

前田さんがぎこちなく笑った。

「ただし……このあと飲みに付き合ってくれたら」