あなたにspark joy

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そして現在。

眼の前の作業服は、こう言っているのだ。

最初から、私みたいな女だって分かってたら来なかった、と。

どうやら、南ちゃんに不満をぶつける私の会話を、篠宮慶太は聞いていたらしかった。

きっと他の男性二名に、部屋を出ていった私を気遣うように言われ、後を追った結果、スマホを耳に当てながら毒ついていた私を発見したのだろう。

けどね。

どっちが悪いのよ。

時間には遅れるわ、服装は作業服だし。

それを、棚のいっちばん上に上げて、よくもこんな失礼な言葉を……。

作業服男は怒りを顕にするわけでもなく、淡々とそう言った後、私を見つめている。

私はというと……きっと呆気に取られたのは一瞬で、彼が言い終えた数秒後には、怒りのあまり眉間にシワが寄ったに違いない。

「女性に対して、失礼だと思わないの?」

「お互い様だと思うけど」

「私はこの日に合わせて仕事だって調整したのよ。トラブル発生なんて、あなたの仕事に対する姿勢がなってなかったんじゃないの?」