あなたにspark joy

いいなあ、恵まれた人は。

……そういやこの間部屋にお邪魔した時、別れた彼女のヤツでも気にしないならクレンジングオイル使っていいよ、とか言ってたよな。

……なんで別れたんだろう。

こんなにカッコいいのに。

……もしかして……捨てたのか?

乗り替えたの?!

いや、逆にフラれたとか。

こんな素敵な男を振るなんて、もしかしたら相手は絶世の美女で篠宮さんではもの足らず、ハリウッドスターとかに乗り替えたとか?!

いやいやそれとも彼女が遠慮深い地味子で、希にみる男前と運良く付き合えたけど、やっぱレベル高すぎて『私なんかに貴方は勿体無いわ』みたいな?

やだ、どれ?!ちょっと知りたいかも。

その時急に、大きな手が私の額に張り付いた。

「うわっ!なんですかっ」

「いや、急に黙り込むからまた熱が出て、眼を開けたまま寝たのかと思って」

そんなわけあるか。

あんたがどーして彼女と別れたのかという、臆測に夢中だっただけだ。

でもそんな下世話な妄想繰り広げていたなんて言えるわけもなく、私は焦って微笑んだ。