篠宮さんがわざと両目を細めて身を屈め、至近距離から私を見つめた。

「一緒にいたいです、なんて言って部屋によんでくれたのはいいけど、シャワー浴びた途端にグースカ寝ちゃうし」

グ、グースカ!

そこはスヤスヤでしょう!

心の中ですかさず突っ込んだものの、これ以上行儀の悪い女だと思われたくなくて、私はモゴモゴと言い訳をした。

「そ……れは……熱燗が思いの外効いてて……」

「熱燗で思い出したけど、高広にはちゃんと説明したから。もう真優ちゃんは俺のものだって」

「……」

篠宮さんが頬を斜めに傾けた。

「真優」

その艶やかな声に、ドキドキと心臓が騒ぎ出す。

お互いの頬がふれ合った時、篠宮さんが甘く囁いた。

「あの、篠宮さ……」

「慶太って、言ってみ」

いつの間にか胸のトキメキが全身に広がっていて、私は観念した。

「慶……太」

「もう一回」

「慶太」

「真優、今日は帰す気ないから。それから」

篠宮さん……慶太……が、悪戯っぽく微笑んで私を見た。

「寝かす気もない」

ああ、きっとこのトキメキはこれからも続くだろう。

「うん、慶太」

私は大好きな彼のキスを受けながら、ゆっくりと眼を閉じた。







      『あなたにspark joy』
         
          end