あなたにspark joy

佐伯さんがわずかに頬を傾けて両目を細めた。

「あなたはそれでいいの?」

コクンと頷いた私を見て、佐伯さんの眼にみるみる涙が浮かんで、それがこぼれた。

「……!」

頬を伝った涙に息を飲むと、佐伯さんが押し殺した声を出して私を睨んだ。

「最悪よ、あなたは。挑みもしないで思いを封じ込めるなんて。私がどんな気持ちで……!」

言うなり立ち上がると身を翻し、佐伯さんはパーテーションから出ていってしまった。


『最悪よ、あなたは』


私は……最悪?どうして?

奪うより、この気持ちを胸に閉じ込めた方がいいに決まってる。

なのに、どうして佐伯さんは泣くの?

佐伯さんにとっても、私が篠宮さんを諦めた方が好都合じゃないの?

意味が分からない。

でも私の胸は痛くて苦しくて、どうしたらいいかわからなかった。