あなたにspark joy

****

シャワーを浴び、酔いが覚めたのをいいことに、私は冷蔵庫の缶ビールに手を伸ばした。

眠れないのは嫌だったから。

でも結局深夜になっても眠れず、明け方になってようやく放置していたスマホに手を伸ばした。

篠宮さんからの連絡は何もなかった。

それが、私に対する篠宮さんの感情の表れだと思うしかなかった。

白々と明け始めた日の光が、徐々に部屋を明るく変えていく。

私はゆっくりとベッドから起き上がるとバスルームへと向かった。

鏡を覗き込んで少し拍子抜けして、私は自分の頬を両手で包み込んだ。

……もっとヒドイ顔を想像していたのに……大した事ない。

多少の浮腫みはあるものの、眼も腫れてないし顔色も悪くない。

鏡を見ながら考える。

……好きな人に相手にされないなんて、よくある話だ。

……そうだよね。……今の段階で諦めた方がいい。

だって彼は見た目も素晴らしくて、あんな立派な会社を経営していて……。

月並みな言い方だけど、私とは釣り合わないもの。

よく考えたらひとときのトキメキを味わっただけで、浮き足立っていただけで、それが覚めただけで……。