「それってつまり……嘘?」

南ちゃんがツクネの串をグイッと引きながら頷いた。

「その可能性は大いにあるし、試す価値も大いにあるな」

「試す価値?」

南ちゃんは真顔で私を見た。

「篠宮さんて、多分モテると思うんだよね。真優が飲み会で出会ったみたいに、彼がいつ他の女子と出逢っちゃうか分かんないんだよ?ボケッとしてたら誰かのものになっちゃうんだよ。それにさ」

南ちゃんはここで一旦言葉を切って声のトーンを下げるとニヤリとした。

「もう子供じゃないんだから、大人の恋愛楽しまなきゃね」

大人の恋愛を楽しむ……。

「で、高広君の言葉を確かめるためにも抱き合ってみな!」

「えっ!」

「いやいや、子供じゃないんだからいいじゃん」

ゴクリと生唾を飲んだ私を見て、南ちゃんは一瞬固まったけど、気を取り直したようにこう言ってほほえんだ。

大人の恋愛かあ……。

私は篠宮さんを思い浮かべながら、二杯目のビールを引き寄せた。