あなたにspark joy

出向の初日に、私がミスをするように。

だとしたら……。

私は佐伯さんに微笑みながら頷いた。

「図面は無事、納期内にお渡しできました。設計変更担当の竹中さんに直接確認してもらいましたので安心してください」

「っ……」

佐伯さんが息を飲むのが分かった。

彼女のその態度に、胸がグッと重くなる。

自分に向けられた悪意を感じて、身体が締め付けられたように苦しく痛い。

言い終えた私を見つめて小さく口を開けていた佐伯さんが、グッと眉を寄せた。

「慶太に聞いたの?!シリアルIDがないと、山崎製作所には入れないわよね?!やっぱりあなたと慶太は」

「佐伯さん」

我慢できなかった。


『やあねー、仕事とプライベートは分けてほしいわ。雰囲気悪くなるし』


昨日の中村さんの言葉が胸に蘇る。

この先、デザインタフの設計課にいる限り、佐伯さんのこの悪意が私に襲いかかってくるのかと思うとたまらなかった。

例えば私が仕事上でミスばかり連発し、佐伯さんに迷惑をかけ続けたなら彼女の私に対する風当たりが強くなっても仕方ないと思う。

でも、仕事なんか関係ないところ……篠宮さんに対する私的な感情の捌け口にされて、この先もずっと嫌がらせを受けるなんて我慢ならない。