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翌日。
私はいつもよりひとつ早い電車に乗ると、デザインタフに出社した。
「おはようございます」
設計課には既に課長がいて、頭を下げた私にニコニコと笑った。
「早いね、園田さん」
「課長こそお早いですね。今コーヒー淹れますね」
「ありがとう」
デスクにバッグを置き、設計課の中にあるブレイクルームに一歩足を踏み入れると、私はコーヒーメーカーの脇の棚に手を伸ばした。
その時、
「ちゃんと図面は渡したの?」
急に声がして振り向くと、入り口のドアに寄りかかって腕を組んでいる佐伯さんの姿が眼に飛び込んできた。
「おはようございます。図、」
言いかけた私の声を遮って、佐伯さんは私の前で歩を進めると威圧的な眼差しを更に強めた。
「納期はね、絶対厳守なのよ。一分でも遅れるのは許されないわ」
その言葉に、私は反射的に両目を細めた。
たちまちひとつの疑念が胸に生まれ、それが身体中を駆け巡る。
あたかも私が図面を渡し損ねたと言わんばかりの口調。
クッと顎を上げ、ぞんざいな瞬きを宿したその顔。
……もしかして……佐伯さんはわざと私にシリアルIDを教えなかったんじゃないだろうか。
翌日。
私はいつもよりひとつ早い電車に乗ると、デザインタフに出社した。
「おはようございます」
設計課には既に課長がいて、頭を下げた私にニコニコと笑った。
「早いね、園田さん」
「課長こそお早いですね。今コーヒー淹れますね」
「ありがとう」
デスクにバッグを置き、設計課の中にあるブレイクルームに一歩足を踏み入れると、私はコーヒーメーカーの脇の棚に手を伸ばした。
その時、
「ちゃんと図面は渡したの?」
急に声がして振り向くと、入り口のドアに寄りかかって腕を組んでいる佐伯さんの姿が眼に飛び込んできた。
「おはようございます。図、」
言いかけた私の声を遮って、佐伯さんは私の前で歩を進めると威圧的な眼差しを更に強めた。
「納期はね、絶対厳守なのよ。一分でも遅れるのは許されないわ」
その言葉に、私は反射的に両目を細めた。
たちまちひとつの疑念が胸に生まれ、それが身体中を駆け巡る。
あたかも私が図面を渡し損ねたと言わんばかりの口調。
クッと顎を上げ、ぞんざいな瞬きを宿したその顔。
……もしかして……佐伯さんはわざと私にシリアルIDを教えなかったんじゃないだろうか。


