あなたにspark joy

心臓を掴み上げられたような感覚と、前田さんのどこか虚ろな瞳。

私は必死で口を開いた。

「やめてください!」

「あいつならいいの?俺ともしてよ、キス。ずっと好きだったのに」

狭い階段で抱きすくめられて、前田さんの腕からまるで抜け出せない。

嫌だ、怖い……怖い!!

「大体さ、真優は誰にでもニコニコしすぎなんだよ」

真優。

前田さんとは、そんな風に下の名前で呼ばれるような仲じゃない。

前田さんは続けた。

「誰にでも愛想よくしてるけどさ、そんなに男にチヤホヤされたいの?見てて凄くイライラするんだけど」

「やめて!離して!」

「もう、我慢できない」

私の頬を片手で掴むと、前田さんは力任せにそれを自分の方に向けた。

指が頬に食い込み、激痛が走る。

「俺のものになってよ」

「い、いやあっ!!」