あなたにspark joy

『そこって、山崎製作所の東側のコンビニの横?』

「え?……はい」

『五分で迎えにいくから、隣のコンビニ入ってて』

信じられない。でも……嬉しい。

「……はい」

『じゃあね』

スマホを持つ手に汗が滲んでいる。

早く、早く前田さんから離れたい。早く……篠宮さんの顔が見たい。

私は幅の狭い階段を駆け上がりながら、とにかく地上を目指した。

その時、

「あの男と会うの」

「きゃあっ!」

声と共に突然後ろから左腕を掴まれて、私は階段から引きずり下ろされた。

一瞬見えた壁のライトが眼に飛び込み、その強烈な明るさのせいで次は目の前がやけに暗く感じた。

店のドアが閉まっているらしく店内の音楽が遠い。

それが私の焦りを煽る。

アッと思った時には既に遅く、前田さんの大きな身体が私を包み込んでいた。

「アイツと会うの?答えてよ」

「や、やめて」

前田さんの顔が私の顔に近付く。

「俺、見たんだよ。アイツと……キスしてたよね?」