あなたにspark joy

呟くようにそう言った前田さんの眼が、充血していてギラギラしている。

やだ、なんか怖い。

……もう、これ以上は一緒にいない方がいい、絶対。

バッグの中の財布を探しながら私は、出来るだけ自然な笑みを作った。

「前田さん、眼が赤いですよ?お疲れなんじゃないですか?私は一人で帰れますから、前田さんも帰って休んでください」

そう言いながら席から立ち上がって前田さんを見ると、私はペコリと頭を下げた。

「待ってよ、園田さん!」

ジョッキを慌てて置いた前田さんが、ガタンと椅子を鳴らした。

その素早さにビクッとしたのは私だけで、騒がしい店の中でその音はさして大きくもなく、誰もこちらを見なかった。

前田さんはそのまま立ち上がると、私を見下ろした。

その瞳が苛立ちに光り、彼はムッとしたまま私を見据えている。

ヤバイ、怖い。

私は敢えて、それに気付かぬフリをした。

その時、バッグの中で小さな緑色のランプが点滅したのが見えて、私は夢中でスマホを引き寄せた。