「杏ちゃん、そんなに俺のこと見つめてどうしたの」


ニヤニヤしながら私の顔を覗いてくる。




「なっ……! べ、べつに見てないし。上から見下ろすのやめてよ」



「ふーん。ま、チビな杏は見上げることしかできねえもんな」




「そんな変わんないし!!」


「そんなって、どんくらい?」



「に、20センチ……」



「うん。そうだよね? 20センチ“も”あるんだよ?」



う……。

わざわざ「も」を強調しなくていい。



175センチの快と、145センチの私たちの身長の差。



はあ……。


「おい、杏。毛虫が」