自分なりに頑張ってきて、今がある。


「そろそろ行くぞ」という掛け声と共に車が走り出し、タクシーは繁華街を出た。


 湾岸倉庫方面へと向かう。


 変わらない光景が目の前に流れた。


 かなり疲労している。


 明らかにメンタル面での疲れだ。


 仕方ないことである。


 助手席の背凭れに凭れ、息をつく。


 伊里町は前方を見ていた。


 ハンドルを切り、アクセルとブレーキを交互に踏みながら……。


 思う。


 ここが正念場だろうと。


 街は薄曇りだった。