心に届く歌








「少し待っていてちょうだい」



運転手が「承知致しました」と頷いた所で、わたしは目の前に佇む学校を見る。

学校に行ったことのないわたしにとって、学校は初めて目にするもの。



予想より大きかった。

身長160センチのわたしがふたり必要じゃないかと思うほど高い柵が敷地を囲い、上には有刺鉄線が張り巡らされている。

防犯カメラに赤外線センサーなど、防犯に優れているようだった。

確か敷地内には幼稚園から大学まであると聞いたことがある。

お父様はわたしと同じく、家で跡継ぎの勉強をしていたから学校に行かなかったけど、

伯爵の娘であったお母様も国1番の天才医師のドクもここに通っていた。




わたしは門の所にあった、カメラ付きのインターフォンを押した。



『はい。どちら様でしょうか』


「わたし、今保健室にいるはずの生徒の主です。
具合が悪いと聞いたので迎えに来ました」


『失礼ですが、お名前を伺ってもよろしいでしょうか』



名前、か。

出来れば言いたくないけど、仕方ない。



「エル・ソレイユと申します。
高等部に在学中のシエル・セレーネの主です」


『……かしこまりました。門を開けますので、下がってください』




すぐに門が開き、わたしは中に入る。

整備された道に、人口芝生が敷き詰められた場所もある。



整備された道。

ふと、シエルの育ったノール村は整備が行き届いていないことを思い出した。