派遣社員の秘め事  ~秘めるつもりはないんですが~

 また飲み物はなんでもいいと言うので、ルイボスティーを淹れてやった。

「はい、どうぞ」
とラグの上のテーブルに置いた途端、ソファに座っていた渚が後ろから抱きついてきた。

「なにするんですかーっ」
とそこに落ちていたクッションで殴る。

 だが、渚は手を離さず、そのまま、蓮を自分の膝の上へと抱え上げた。

 ほらっ。
 やっぱり、秘書は膝に乗せるものとか思ってるしっ。

 っていうか、浦島さんもやっぱり、こうやって、膝に乗せたりするの?

 それは許さんっ。

 そして、顔が近いっ!

 赤くなりながらも、想いは迷走する。

「はなはなはなっ……離してくださいっ」
と叫んで渚を押し返そうとするが、大きな渚の手はガッチリ、蓮の肩と腰に回っていて、離れない。

「どうしていいかわからないんだ」

 渚は大真面目にそんなことを言い出した。

 はい?

 間近に蓮を見つめ、
「女性に愛情を持って接するのは初めてだから、どうしていいかわからない」
とロクでもないことを言ってくる。