派遣社員の秘め事  ~秘めるつもりはないんですが~

「まあ、こんな調子で、ずっと忙しいから、お前にも苦労かけるかもしれないが……」

「ちょっと待ってください。
 それって、あれですか?

 私と結婚する気があるって話ですか?」

 なにやら、今後の結婚生活を語っている感じなのだが。

 だが、そう問うと、渚は呆れた顔をする。

「当たり前だろ。
 結婚しないのに、子供作っていいわけないだろ」

 どんな淫乱だ、とこっちが言われてしまう。

「あっ、貴方が肝心なこと言わないからですよ。
 どんな強姦魔かと思うじゃないですか」

 おのれの常識で語らないでくださいっ、となんだかわからないが、気が抜けたのもあり、社長様を罵ってしまう。

「そうか。
 すまなかった。

 伝わってると思ってたんだが」

 いや、なにも伝わっていません、と思っていると、渚はデスクからこちらを見、さらっと言ってくる。

「じゃあ、蓮子、結婚してくれ」

「……すみませんが、なにも伝わってきませんが」