眩しいな。

 よく眠れるように、厚い遮光カーテンがつけてあるはずの部屋が光に満ちていた。

 瞬きしていると、
「おはようございます」
とやたら丁寧なおばさんの声がした。

 一瞬、未来のおばさんかと思ったのだが、違った。

 更に厳しい感じの声だ。

「おはようございます」
と繰り返され、目を開けると、地味だが品のいいスーツを着た年配の女性がベッドの横に立っていた。

「お……おはようございます」

 いきなり寝室に現れた見知らぬ女に、目が覚めたら、商店街のど真ん中にベッドがあったくらいの衝撃を受ける。

「お目覚めでございますか。
 秋津蓮様」

 そう彼女は言った。

「わたくし、徳田と申します。
 昨夜は、渚様がお世話になりましたそうで。
 ありがとうございます」

 は……はあ、と思っていると、
「渚様は、早朝用事があったのを思い出され、仕事に行かれましたが。
 蓮様の家の鍵を所有していなかったので、鍵をかけられず、わたくしを呼びました次第でございます」
と言ってくる。

「いやあの……起こしてくれたので、よかったんですが」