「なんかすごい重箱のお弁当とか?」

 阿呆か、と渚は言う。

「その辺のコンビニのだ」

 座っていいか、と本当に疲れているらしく、そう言いながら、もうラグの後ろのソファに腰を下ろしていた。

 そういう姿を見ると、ちょっと可哀想になるな、と思う。

 社長とか言うと、ふんぞり返っているイメージだが、実際は誰よりも働いていて、休む暇もないことが多い。

「お茶でもどうですか?」

「珈琲以外な」
 飲み飽きたから、と言う。

 蓮はキッチンに立ち、寝る前だから、カフェインの強いのはやめた方がいいな、と思い、ルイボスティーを淹れてみた。

「で?」
と訊く。

「なんで、今すぐ子供が居るんですか?」

 弱っている今ならロクでもないことを言って、茶化したりはしないかもしれないと思い、訊いてみた。

 まあ、渚がその若さで社長ということから、なんとなく想像はつくのだが。

 ソファで目を閉じていた渚は、案の定なことを言ってくる。

「ジイさんが後継ぎを作らない奴は出て行けと言い出したんだ」

 やっぱりか。