派遣社員の秘め事  ~秘めるつもりはないんですが~





 渚はしばらく、統吉と、寄ってきた親族たちと話していた。

 調子のいい人たちだなあ、と蓮は、池のガゼボから、その親族たちを眺める。

「そろそろ和博さん出してやろうか?」

 側に立つスーツ姿の未来が言った。

「いやあ、もうちょっと置いておいて。
 今出してくると、面倒だから」

「薄情な従姉妹だね」
と未来は笑う。

 未来が女の子たちに呼ばれ、行ってしまったあとで、蓮はひとり、ガゼボの白いベンチでうつらうつらとしていた。

 夢の中では、まだ咲かぬ蓮の花が咲き乱れ、その中を誰かがこちらへ歩いてきていた。

 頭になにか軽いものが載せられる。

 蓮は目を開けた。

「うん」
と花はなくとも、美しい蓮の池を背に、渚が頷く。

「着物には間抜けだが、よく似合うぞ」

「だから間抜けなときに載せないでくださいよ~」
と赤くなりながら、ティアラを外そうとしたが、その手を止められた。

 跪いた渚が蓮の両の手首をつかんだまま、口づけてくる。