派遣社員の秘め事  ~秘めるつもりはないんですが~

「まあ、お前も蓮に飽きんじゃろう。
 わしもまだ、富子に飽きとらんからのう」
と祖母に言い、祖母は、まあ、と頬を赤らめていた。

「ああそうだ、蓮。
 わしは別に具合は悪くない」

「……わかってましたよ」

 そんなツヤツヤした病人が居ますか、と言う。

「でも、おじい様ほどの方が、あんなつまらぬ三文芝居を打つから、そこまで切羽詰まっているのかと乗ってさしあげたんですよ」
と言うと、そうか、と言う。

「だが、なにも嘘は言っとらん。
 わしも老人じゃ百年以内には死んでおる」

「そんなの私だって、死んでますよ……」

 そこで、渚は、統吉を見て言った。

「結婚を許してくださってありがとうございます」

 ようやくまともになった渚の口調に、統吉も威厳を取り戻し、うむ、と頷く。

「貴方の望み通り、蓮にはこの家を継がせてください」

「えっ?」

「俺が稗田の家を出ます」

「渚さんっ」

 渚がそんなことを考えていたとは思わなかった。