派遣社員の秘め事  ~秘めるつもりはないんですが~

 大事な妻にそう言われ、統吉は低く唸ったあとで、

「わかった。
 じゃあ、好きにせいっ」
と言った。

「おじい様っ」

 負け犬の遠吠えのように統吉は、
「せいぜい飽きるほど側に居るがいい。
 飽きたら返せよっ」
と渚に言っていた。

「いえ、返しませんよ」

「なに?」

「飽きたら、今まで俺をさんざ振り回した罪で奴隷にでもします」

 ……渚さん。

 なに言ってんだ、と項垂れる蓮の横で、統吉は笑い出した。

「お前はほんにわしと似とる!」

 そうですね。
 似てるかもしれませんね。

 この強引なとことか、ワンマンなとことか、人でなしなところとか。

 ぐったりする蓮の横で、統吉はご機嫌だ。

「つまりは、蓮はわしが好きなんじゃな」

「はあ……そうかもしれませんね」

 まあ、おじい様の機嫌がいいなら、それでいいか、と思って、その話は流した。