派遣社員の秘め事  ~秘めるつもりはないんですが~

 上から言うな。
 しかも、上から目線で言うな。

 いや、言葉としては丁寧なのだが、なんだか口調がそんな感じだ。

『大丈夫だ。
 俺が土下座しても、ジジイに頼んでやる』

 確か夕べ、そう言っていた。

 だが、現実には、渚は統吉を上から見下ろし、威圧的に物を言っている。

 逆らうなら、斬る! くらいの勢いだ。

 いや、もしかして、この人、これでもへりくだっているつもりなのか?

「蓮をください、ジイさん」

 ジイさんもおかしいよっ?

 だが、さすが、百戦錬磨の統吉は、若造の一睨みを見返し言った。

「和博をどうした?」

「さあ?
 トイレから出てこられないみたいですが。

 なんせ、此処の家の手錠は、なにをやっても外れないらしいので」

 離れた位置で未来が笑っている。

 統吉は、ちらとそちらを見ていった。

「……あの未来を抱き込んだか。
 さすがだな」