派遣社員の秘め事  ~秘めるつもりはないんですが~

「蓮の夫は俺だ、ジジイ」
と声がして、屋敷の方から渚が現れる。

 うん。
 まず、言いたいことがある。

 ジジイはないだろ。
 ジジイは……と蓮は頭を抱えた。

 どうして、最初から喧嘩腰なんだ?

 だが、渚がなにを言ったわけでもないのに、こちらに来る彼のために、勝手に人波が割れ、道が開かれる。

 客観的に恋人を見ながら、蓮は、こういうのがカリスマ性があるって言うんだな、と思っていた。

 ちなみに和博には、それはない。

 だが、祖父は、和博はあくまで蓮のサポートだと思っているので、そこのところは問わないようだった。

「稗田社長じゃないか」
と何人かが呟くのが聞こえた。

 しかし、それにしても……。

 こんなときになんなんだが。

 やっぱり格好いいな、渚さん。

 うちの一族も美形ぞろいだと思うが、一際目を引く、と蓮は思っていた。

 ……まあ、好みの問題かもしれないが。

「稗田渚です。
 蓮をください」

 統吉の前に進み出た渚は、統吉を見下ろし、そう言った。