派遣社員の秘め事  ~秘めるつもりはないんですが~

 


 翌日、蓮は総務の給湯室に居た。

 小さな冷凍室を開けていると、真知子がやってきた。

「あら、なにやってんの?」

「いえ……」
と言い、扉を閉める。

 そこには、渚に買ってもらったアイスが入っていた。

 真知子はそのまま、流しに腰を預け、石井の話を始めた。

「石井さんって、いい人よねー」
と真知子は言う。

 まあそうかな。
 手を引くの早かったし。

 ヤバイ気配の読める人、なだけかもしれないが。

 そのまま、真知子としばらく話した。

「また、ご飯でも食べに行かない?
 いつが暇?」

 私は、16日とか空いてるけど、と真知子はガンガン話を進めてくる。

 普通、ご飯食べに行かない?
 いいねえ、と言って別れて、また会って、そうだ。何日にするー? とかゆっくり話が進むことが多いのだが、真知子は息つく暇もなく、話を進めてくる。