派遣社員の秘め事  ~秘めるつもりはないんですが~

 ただの嫉妬なのだが、蓮はそれを嫉妬だとは受け取らないだろうから。

 ほんとにただの忠告だと思って、悩んでしまうかもしれない。

 だからって。

 ごめん。
 君と渚に嫉妬して言ったんだよとは言えないよな、とか考えている間に、蓮は、

「失礼します。
 ありがとうございました」
と言って、しょんぼり帰っていってしまう。

 その後ろ姿をうっかり見送りながら、ほんとにこの人、ギャップあるよな~と思っていた。

 さっき、和博を言い負かしたくらいの感じで、僕にも言い返してくればいいのに。

 だが、誰彼構わず噛み付いたりしないのが、蓮なのだろうとも思っているし。

 そんなことを考えているうちに、蓮がマンションに入っていくのが見えた。

 信号の向こう、小さくなった彼女の姿に、走り出していた。