派遣社員の秘め事  ~秘めるつもりはないんですが~

「でもさ、秋津さん。
 ほんとに家を捨てて、渚のところに行けるの?」

 思わずそう訊いてしまうと、蓮は黙る。

 それは彼女にとって、数少ないウィークポイントのような気がした。

「今だって自立してるようでしてないよね。

 渚とのことだってそうだよ。

 結局、自分と同じような相手を選んでるじゃない」

「……そうですよね、すみません」
としゅんとして言う蓮に、

「いや、僕に謝る必要はないんだけどさ。
 これからどうするのかなって、ちょっと気になって」
と言うと、

「そうですよね。
 ありがとうございます」
と言う。

 少し、心此処にあらずな感じに思えた。

 蓮自身、いろいろ迷っているのかもしれないと思う。

「いや、ごめん。
 ほんとに責めてるわけじゃないんだ」

 そう重ねて言ったが、自分で、いや、責めてるだろうと思っていた。