派遣社員の秘め事  ~秘めるつもりはないんですが~

 



 別に狙って待っていたわけじゃない。

 脇田が会社の外に出たとき、ちょうど蓮も出てきた。

「あの、脇田さん」
と蓮が遠慮がちに話しかけてきたとき、余計な声がした。

「はっはっはっはっはっ。

 僕は魔王に洗脳されなかったぞっ、蓮」

 こいつは待ってたんだろうな……。

 何処からともなく現れた和博が立っていた。

 渚じゃなくとも、仕事しろ、と言いたくなるところだ。

「いや、洗脳って……。

 和博さんに渚さん、大好きになられても困るけどね」
と蓮は言う。

「やっとあいつらが出したんだ」
と和博は写真を見せてきた。

 渚が社長室で蓮を膝に乗せ、いちゃついている写真だ。

 和博の部下が一応撮っていたのだろう。

「……すみません、脇田さん」
と蓮が謝ってくる。

「最近は、ブラインド下げるようにしてるんですが」

 いや、まず、社長室でいちゃつくな、と思った。

 こっちに向かっては殊勝な素振りを見せていた蓮だが、和博の方を向いたときには、顔つきが違っていた。