派遣社員の秘め事  ~秘めるつもりはないんですが~

 



 朝、仕事をしていると、
「蓮ちゃん、なにか困ってる?」
と葉子に訊かれた。

「え……。
 困ってるように見えました?」

 顔を上げ、横の葉子を見ると、
「いや、いつもほど、キラキラ感がないから」
と言ってくる。

「もう年なんじゃないですか?」
と誤魔化すように笑って言うと形相の変わった葉子に、

「……蓮ちゃん、殴るわよ」
と言われた。

 しまった。

 浦島さんの方が年上だった……と思いながら、はは、と笑う。

 まあ、困ったことならあるが。

 夕べの手錠が外れなかったときも困ったが。

 今朝の脇田と、どっちが困ったことだろうな、と思ったとき、脇田が社長室から出てきた。

 ちらとこちらを見たが、そのまま行ってしまう。

 葉子の視線が脇田を追った。

「脇田さん、彼女でも出来たのかな?」

「え?
 なんでですか?」

「格好いいのは前からだけど。
 なんか最近、色気が出てきたっていうか」

「……そ、そうなんですかね~」

 うーむ。
 じゃあ、今朝のあれはなんだったんだろうな、と思っていると、

「蓮」
と社長室の扉が開いて、渚が顔を出す。

 はい、と立ち上がった。