派遣社員の秘め事  ~秘めるつもりはないんですが~

「キスしてもいいですか?」

「……なんで訊く?」

「最初の頃、貴方がそう訊いてたからですよ」

「……いいぞ」
と渚が言ったので、蓮はベッドに手をつき、身を乗り出すと、渚に口づけた。

 渚が蓮の背に手をやり、抱き寄せる。

 少しだけ唇を離した蓮は、渚の胸に手を触れ、見つめて言った。

「私からキスしたの、渚さんが初めてですよ」

 渚の腕が蓮を強く引き寄せ、今度は渚の方からキスしてきた。

 そのままベッドに倒される。

 もう一度、今度は長く口づけたあとで、渚が言った。

「ところで、お前、今、指、挟まれてないか?」

「……気のせいですよ」
と蓮は笑いながら、その手をベッドの下の方に下げて隠した。

 いや、本当に。

 ――気のせいですよ……。