派遣社員の秘め事  ~秘めるつもりはないんですが~

「わかったっ。
 これ、興奮して、血流とか激しくなると、挟むだけなんですよっ」

 なにも根拠はないですっ、と叫ぶが、渚は訊いていない。

 質問とも言えない言葉を繰り出してくる。

「私が関係を持ったのは、渚さんが初めてですーっ」

「なんで私の口調になるんですかーっ」

 渚の妄想と願望が口から出たのか。

 渚の口調は、いつもの蓮のそれ、そっくりだった。

「お前……答えてないぞ」
と凄んでくる。

 怖い。
 もう相手にすまい。

 とりあえず、望まれるまま、
「はい」
と言った。

「今のは、なんに対してのはい、だ」
と追求されても、

「……はい」
と答える。

 心乱さないように。

 渚の質問さえも、頭に入れないようにして、ただ、はい、を繰り返す。

 最早、嘘発見器が意味をなしてはいなかった。