派遣社員の秘め事  ~秘めるつもりはないんですが~

「お前はってなんですか。
 お前はって。

 やっぱり、私が初めてなんて嘘じゃないですか。

 私の前に誰か居たんですよねっ?」

 抱きかかえられたまま、運ばれながらも文句を言ってみた。

「居てもいいじゃないか。
 お前も居たんだろ。

 その課長代理とやらが」

 いや、名前は言うな、と渚は何故か笑顔のまま言ってくる。

「和博にも誰にも言わないように言ってある。
 詳しく知ったら、殺しに行きそうだから」

 いや、落ち着いてください、大魔王様。

「あの、別に私は課長代理とはなにも関係ないですからね」

「でも、罵られたら、傷つくくらい信頼してたんだろうが。
 俺はそれだけでも許せないが?」

「えーと。
 信頼という意味でなら、未来とかだって、同じかそれ以上に信頼してますけど」
と言うと、

「じゃあ、未来も殺そう」
と笑ったまま渚は言ってきた。

 すみません。
 あの、正気に返ってください……。