派遣社員の秘め事  ~秘めるつもりはないんですが~

「それはあれか?
 他の男を連れ込んでるときに、俺が来たら、まずいって言う……」

 靴を脱ぎながら、そんなことを言う渚に、
「なに莫迦なこと言ってるんですか。
 ダラッとしてるときに、いきなり入ってこられたら恥ずかしいからですよ」
と言うと、

「お前がダラッとしてないときがあったか?」
と大真面目に訊いてくる。

「……あのー、これでも、渚さんが来ると緊張してるんですけど」

 そう訴えてみたが、
「しなくていいだろ、緊張。
 結婚したら、ずっと居るんだし。

 俺は緊張してないぞ」
と言ってくる。

 ……してなさそうですね、とちょっと寂しく思っていると、渚は、いきなり蓮を抱き上げた。

「緊張はしないな。
 ただ嬉しいだけだ。
 お前の顔を見てられるのが」

 顔近い、顔近いですっ、と赤くなって遠ざかろうとすると、
「お前はいつまでも初々しいな」
と言って、渚は笑う。

 ん?
 ちょっと引っかかるな、と思った。