派遣社員の秘め事  ~秘めるつもりはないんですが~






 仕事を片付け、渚がビルを出ると、何処かで見たようなスーツが見えた。

 会社の前をウロウロしている。

「どうした、村人」

「なんだ、それはっ」
と叫んで和博が振り返る。

「なにやってんだ、仕事しろ」
と最もなことを言うと、

「仕事はしている。
 この付近の会社に用事があったから、また来てしまって。

 蓮のことが気になったから、ちょっとこの辺りをうろついてみただけだ」
と言う。

 まあ、その落ち着かない気持ちはわかるが、と思いながらも、

「お前も立場のある人間だろ。
 少しは考えて動けよ」

 信用なくすぞ、と忠告してみた。

「あら? 渚さん……
 と和博さん」
と声がした。

 見ると、蓮と未来が立っていた。

「未来っ。
 お前、なにやってんだ?」
と和博が未来を睨むが、未来は怯むことなく、

「いや、おばさんに言われて、蓮の様子を見に。
 和博さんが、蓮の周りをうろついてたって言っとくよ」
と言う。

 うっ、と和博が詰まっていた。

 どうも彼は、未来の叔母に弱いようだった。