派遣社員の秘め事  ~秘めるつもりはないんですが~

 初めて駐車場で会ったとき、うっかり、めちゃめちゃ格好いい人だと思ってしまった。

 初対面で、俺の子を孕めとかいうロクでもない男だったのに。

 和博さんが、渚さんより男前だという課長代理のときなんて。

 新入社員の研修で出会ったとき、なんて綺麗な顔だと思ったけど、それだけだった。

 なにも胸に響いてくるものはなかった。

 お前の目はおかしい、という渚の言葉を思い出し、笑いそうになってしまう。

 今になって気づいたからだ。

 私は最初から渚さんが好きだったんだ。

 困ったことに、きっと、一目惚れだ。

 そんなことを考えている前で、未来が眉をひそめている。

「まさか、王子じゃなくて、あんな邪悪そうなのに持っていかれるとは思わなかったけどね」

 ……邪悪ってな。

 早くも、悪から邪悪に昇格か、と思いながら、

「未来、たまには、なんか食べに行く?
 奢ってあげるよ」
と言い、歩き出す。

「やだねえ、おねえさんぶっちゃって」

 そう言いながらも、未来はついてきた。