派遣社員の秘め事  ~秘めるつもりはないんですが~

 ……未来、と幼なじみを見つめた。

「僕は蓮の王子様にはなれなかったけど。
 君が望むなら、いつでも助けてあげる」

 蓮は微笑んだ。

「未来は充分、王子様だよ。
 いつも私の側に居てくれた……」

 いつも憎まれ口を叩きながらも、ずっと助けてくれていた、と蓮は未来の手を握る。

 未来はつかまれた手を黙って見ていたが、いつもの顔になり、ふっと笑って言った。

「なにそれ?
 その口で、あの悪の大魔王も落としたの?」

 悪の大魔王って、と苦笑いする。

 ついに、『悪の』がついたか、と思ったのだ。

「だって、あの人、ほんとに誰の言うことも聞かないじゃない。
 蓮の言うことも」

 大魔王だよ、と言う。

「姫が嫌がっても、容赦なく連れ去りそうだよ」

 確かに。
 好きじゃないときから、一歩も引かなかったな、と苦笑いする。

 いや……。

 好きじゃないときなんてあっただろうか、と思う。