派遣社員の秘め事  ~秘めるつもりはないんですが~

 




 さて、今日の晩ご飯はどうしようかな?

 そんなことを考えながら、会社から出た蓮は鼻歌を止める。

「ご機嫌だね、蓮」

 未来が立っていた。

「どうしたの? こんなところまで来るなんて」

 いや、と俯きがちに未来は溜息をつく。

「いつもさ。
 僕が勝手に様子見てくるって言ってるだけで、おばさんは、基本、蓮をそっとしといてやれって言うんだよね。

 誰より気にはなってるみたいなんだけどさ」

 まあ、うちの親よりは確実にな、と思いながら、聞いていた。

「それが、今日は様子見てこいってさ」

「……なんで?」

 なにやら不吉なものを感じて、そう問うと、未来は片腰に手をやり、蓮を見上げて言った。

「和博さんが会長や蓮の親父さんに、あることないことまくし立ててるみたいなんだよ」

「お爺様はともかく、よくお父様が捕まったわね」

 いっそ感心して、そう言った。