派遣社員の秘め事  ~秘めるつもりはないんですが~

 私は渚さんしか好きじゃないと言い切る蓮が嬉しくもあり、恐ろしくもあり。

 このブレなさが怖いな、と思っていた。

 浮気しても、その人しか好きじゃないからいいとか言い出さないだろうか。

 そして、蓮の記憶から簡単に抹消され、捨てられるおのれを想像してしまった。

 だが、そんな妄想の中の恐ろしい蓮とは違い、現実の蓮は、自分の答えをちょこんと待っている。

「さあ、知らないな」
と突き放したように言うと、ええっ? という顔をする。

 笑いそうになったが、堪えて言った。

「俺もお前が初めてだから。
 この先のことなんて、わかるわけないだろ?」

 側まで来ていた蓮の手を引き、膝に座らせる。

「大丈夫だ、蓮。
 俺も生まれてから今まで、お前しか好きじゃないし。
 きっと、これから先もそうだから」

 そう言い、唇を重ねた。

「渚さん……」
と離れた蓮が呼びかける。

「じゃあ、もし、渚さんが浮気したら、さっきのライフルで撃ちますねっ」

 そう蓮は無邪気に微笑んだ。

 ひいっ、と思いながらも、余裕があるフリをして、笑ってみせる。

 こいつ、本気でやりそうだ……。