蓮が呼ばれて社長室に行くと、渚はライフルを金庫にしまっていた。
一見、普通のロッカーなのだが、更にその中に、もうひとつ、細長いライフル用の金庫が隠してあるようだった。
背後に立って見ていると、渚が振り返り、
「お前、今、番号覚えたろ」
と言う。
「覚えましたけど。
鍵もないと開かないじゃないですか」
と蓮は笑った。
渚は椅子に座りながら、
「俺の秘密を教えたんだから、お前も教えろよ」
と言ってくる。
蓮はデスクの前に立ち、文句を言った。
「秘密って……鍵なしじゃ開かない金庫の番号なんて意味ないじゃないですか」
だいたい、私に秘密なんてありません、と言うと、渚は窺うようにこちらを見、
「さっき、和博を脅したとき思ったんだ。
お前にキスしたの、あいつじゃないな」
と言い出した。
「襲いかかる、くらいはするかもしれないが。
嫌がるお前に無理やりキスするほどの度胸は、あれにはないと見た。
……お前にキスしたのは、例の課長代理だな」
「そうですね」
あっさり認めた蓮に、そうですね? 渚が身を乗り出し、訊き返してきた。



