「石井」
と脇田は廊下で奏汰を呼び止めた。
足を止めた奏汰に、
「外で今の話は……」
と言いかけると、
「どの話もできるわけないじゃないですか。
僕が社長に射殺されます」
と苦笑いして言ってくる。
「まあ、もう秋津さんにちょっかいかけるのはやめとくんだな」
「当たり前ですよ。
あの争いに首を突っ込む勇気はないですよ」
僕なんて、あの秋津さんの従兄弟より小物ですから、と奏汰は言う。
「いや、あれも、魔王VS村人みたいだったけどな」
と呟くと、
「なかなかうまい例えですね」
と笑ったあとで、じゃあ、失礼します、と奏汰は行ってしまった。
奏汰はエレベーターに乗るとき、自分の後ろを見たようだった。
振り返ると、いつの間にか蓮が立っていた。



