派遣社員の秘め事  ~秘めるつもりはないんですが~

 和博は首を振る。

「あのー、和博さん、渚さんは、ほんとにやる人だから」

 蓮がそう言い終わらないうちに、和博は、
「お、覚えてろよっ」
と言って、去りかけ、振り返った。

「蓮っ。
 必ず、後悔するぞ。

 泣いて僕のところに帰ってきても……

 遅くないからなっ。
 遅くないから、戻ってこいよっ」

 最後でヘタレるな……。

 奏汰が戸口で見送りながら、
「ほんとに居るんですね。
 覚えてろよとか、あの一連の負け犬の捨て台詞を言う人」
といっそ、感心しながら言っていた。

 渚が銃を下ろしながら、鼻で笑う。

「弾が入ってるわけないだろうが」

「本物だったんですか」
と近くまで行ってライフルを確認した蓮が言っていた。

「競技用のライフルだ。
 人に向けたなんて知られたら、取り上げられるが。

 ああ……あれ、人じゃないか」
と渚は平然と言う。

「お前を襲おうとしたケダモノだから、クマ以下だ」

 蓮は苦笑いしている。
 誰がこの男に許可を与えたんだ、と思っているようだった。