派遣社員の秘め事  ~秘めるつもりはないんですが~

 確かに、此処の仕事は結構単調で、気ばかり使う感じだが。

 そのとき、騒ぎを聞きつけたのか、社長室の扉が開いた。

「なにしに来た、ボンクラ息子」

 さすが、渚。
 みんなが腹の中だけで思っていることを口に出して言う。

「お前が、稗田渚か。
 僕は蓮の婚約者の秋津和博だ。

 稗田渚、お前は蓮とは結婚できない」

 いきなりか。

 奏汰はなにがなんだかわからずに、全員の顔を見回している。

「聞いたぞ。
 お前のところのジイさんは、お前に急いで子供を作れと言ったそうだな。

 お前だけに」

「和博さん」
と蓮が止めようとする。

「稗田会長はお前に後を継がせるつもりなんじゃないのか?
 だから、お前だけに、早く結婚して、社会的信用を得て、後継ぎも作れと言ったんだ」

「和博さん、そんな憶測を……」

「なんだよ。
 蓮だって、ほんとは、そう思ってるんだろ?」
と和博は言う。

 蓮は罰が悪そうな顔をしていた。