「渚、渋い顔だな」
翌朝、渚はいつものように、社長室でスケジュールの説明を聞いていたのだが。
脇田は、途中で手帳を読み上げるのをやめ、そう訊いてきた。
脇田を見上げ、
「お前が課長代理の話を俺にしろと蓮に言ったそうだな」
と言うと、
「他人に聞かされるよりいいだろ?
人が話すと、面白おかしく話を広げるからな」
聞きたくなかったか? と言って、脇田は笑う。
「まあ、……聞いて楽しい話じゃないからな」
溜息をつき、
「いろいろとめんどくさいな、恋愛って。
相手の過去まで気になるし」
と弱音を吐くと、
「まあ、お前は初めてだからな」
と言ってくる。
渚は、デスクを指で弾きながら、今日はムカつくな~、脇田のこの余裕が、と思っていた。
このどんなときでも、大丈夫です、と言って、いつも落ち着き払っているところを買って秘書にしたのだが。
今日はちょっと上から目線に感じてムカついてしまった。
「めんどくさいと思うなら、別れたらどうだ」
社長に別れろという秘書とかどうなんだと思ったが、まあ、親友として、言ってくれてるのだろうと思う。
だが――。
「お前、蓮が好きなんだろ」



